2022.10.24

日本のデジタル競争力に関する調査レポート

9/28に国際経営開発研究所 (IMD) より発表された世界デジタル競争力ランキング2022 (IMD World Digital Competitiveness Ranking 2022) では、日本は63ヵ国中29位と、過去最低の順位となりました。
トレノケートでは、本ランキングに関連して日本国内の捉え方や取り組み状況の実態を知るためのアンケート調査を行いました。本記事では、その調査の結果見えてきた、競争力が低水準のままとなっている一因や、日本のデジタル競争力の向上のために必要なことについて解説します。

INDEX

目次

低水準が続く日本のデジタル競争力の現状とその一因

改善のための有効な取り組み

補足:トレノケートのメルマガ読者の特徴

低水準が続く日本のデジタル競争力の現状とその一因

こちらの図の通り、日本のデジタル競争力は4年連続で順位を落としています。

※IMD World Digital Competitiveness Ranking 2022よりトレノケートホールディングス作成

また、アンケート調査でDXに取り組んでいるか尋ねたところ、回答者の61.5%がDXに全く取り組んでいないという結果となりました。

 

 

ここ数年、DXへの関心が高まり、IT化が様々なところで進んでいる印象もある中、なぜこのように競争力の低迷やDX化の遅れが起こっているのでしょうか?

結論から述べると、その一因は、「日本の競争力の低迷に気付いてない、またDXの必要性を他人事に感じている」点ではないか、とアンケート結果から推測されます。

 

次のアンケート結果をご覧ください。こちらは、IMDの世界デジタル競争力ランキングを算出する際の指標のうち、63ヵ国中で日本の評価がほとんど最下位だった「デジタル・技術スキル」(62位)と「ビッグデータやデータ分析の活用」(63位)について、以下の2つについて質問した結果です。
*アンケートでは、世界デジタル競争力ランキングで評価の低い計6項目について同様の質問を行いましたが、下記ではその中から上記2項目について取り上げます。

 

1)日本は世界と比べてどの程度のレベルか

 

2)自分、または自社は対応できているか

 

このように、実際の世界的な評価は非常に低い現状にも関わらず、日本は未だデジタル技術の面でレベルが高い=先進国であるという認識が強い傾向が見て取れます。その一方で、自身や自社については「対応できている」との回答が少数派であることから、「自分はできないが、日本全体(他者)はできているのでは」と考える人が多い、つまり、デジタル競争力が低迷していることが自分ごと化されていないのではないか、と推測されます。
自分ごとではなければ、危機感を抱き、改善の行動につながりにくいのは自然の流れです。そう考えると、競争力が低水準のまま移行していることも不思議ではありません。

改善のための有効な取り組み

日本のデジタル競争力の向上のためにも、個人が危機感を持ち、改善に移ることが重要です。では、具体的にどのような取り組みをすればよいでしょうか。

その参考とするため、アンケート調査では、改善のための取り組みについても質問を行いました。競争力が高いと推測されるグループ(※)とそうでないグループを比較しています。競争力が高いグループに多く見られる取り組みやそれぞれの特徴を分析しました。

※「デジタル・技術スキル」について「やや対応できている」または「十分に対応できている」と回答したグループ

 

1. 競争力の高いグループは個人で完結する取り組みよりも、周囲との交流や働きかけが発生する活動を行っている

個人での取り組みについて質問したところ、個人での業務改善は競争力が低いグループの方が取り組みの割合が高くなりました。一方、競争力の高いグループではチームに対する業務改善の提案、社外のコミュニティ参加など、他者との交流が必要な項目で比較的多くの回答がありました。

[前述の6項目を向上・改善させるために、個人で取り組まれていることはありますか (複数回答)]

 

2. 競争力の高いグループは、リモートワークの実施率が1.9倍

リモートワークの実施率は、競争力の高いグループで67.3%、低いグループで36.8%と大きな差となりました。また、競争力の高いグループでは「全社で実施しており、社員も在宅での業務に慣れている」と回答した割合が25.5%に上り、名目上ではなく実態として定着していることが推測されます。

[あなたの勤務先では、リモートワークを実施していますか]

 

3. どちらも共通して、海外経験の強化につながる取り組みは少ない

様々な面で競争力の高いグループと低いグループでの違いが見られた一方、共通していたのは海外経験に対しての取り組みです。日本のレベルが標準以上と回答した割合、自分・自社が対応できていると回答した割合がともに6項目の中で最も低くなっているため、海外経験が弱いという認識自体はあるものの、それに対するアクションは外国人の雇用強化、海外出張など、海外経験の奨励はそれぞれ平均で4.1%、2.4%に留まっています。
この点は、特に強化が必要な部分であると考えられます。

 

 

 

その他にも、組織としての活動や学習に関する取り組みなどについても質問を行いました。
詳細な調査結果については、こちらからダウンロードできる調査レポート全文をご覧ください。

補足:トレノケートのメルマガ読者の特徴

同様の調査を、トレノケート株式会社のメールマガジンの読者を対象にも行いました。

特徴的だったのは、DXへの取り組み状況です。読者のうち、「DXとは何かが分からない」と回答した割合は2.1%のみとなり、ほとんどの読者の方がDXについて理解している結果となりました。

また、DXに対し何かしらの取り組みを行っている(レベル1以上)割合も、一般回答者では38.5%であったのに対し、読者では84.5%と大多数でした。「デジタル・技術スキル」に対応できていると回答した割合も高いことから、比較的デジタル化やDX化に積極的な個人・企業の方が多いことが見受けられます。

 

 

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<日本のデジタル競争力に関する調査 概要>
対象者

  • 人数:169名
  • 年齢・性別:20代~60代男女
  • 地域:全国
  • 職業:会社員(契約社員/派遣社員)、会社員(正社員)、経営者・役員、公務員

 

調査方法、期間

  • 調査方法:インターネット調査
  • アンケート実施期間:2022年7月25日

 

本調査はトレノケート株式会社がトレノケートホールディングス株式会社より依頼を受けて実施しました。
また、調査レポートは共有されたその結果を元に、トレノケートホールディングス株式会社にて作成しています。

*本レポート中に表記してあるデータは小数点第2位で四捨五入を行っているため、合計数値として掲載している値と、表中の個別の数値を合算した値が異なる場合がございます