2022.12.09

「DXリテラシー標準」を読み解く – 田中淳子の『人材育成』応援ラジオ 書き起こし (#032 後編)

本記事では、トレノケート株式会社で配信しているVoicy番組 「田中淳子の『人材育成』応援ラジオ」 から、好評をいただいた放送をピックアップして文字としてお届けします。
音声でお聞きになりたい方は、Voicy内チャンネル をご覧ください。

 

「田中淳子の『人材育成』応援ラジオ」 とは
パーソナリティは、人材育成に携わって36年、人材教育シニアコンサルタントの田中淳子が務めます。自社の人材育成を考える上でヒントとなるようなちょっとした知識やスキル、具体例など、人材育成にご興味・関心がある方向けに役立つヒントを毎日約10分でお伝えします。

 

第1回の前編では、 #032 厚労省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」&経産省「DXリテラシー標準」から、職場における学び・学び直し促進ガイドラインについて取り上げました。後編となる今回は、DXリテラシー標準についてご紹介します。

INDEX

目次

DXリテラシー標準のポイント

DXの学び直しに関する企業事例

時代がどんどん変化していく中でDX(デジタルトランスフォーメーション)は避けて通れないものです。
そこで、政府はDX化に必要な能力スキルを「DXリテラシー標準」として設定しました。前編で紹介した学び直しガイドラインは厚労省でしたが、こちらは経済産業省が発表しています。
今後も継続的に改定が行われるとのことですが、2022年3月に第一弾が発表されました。そのポイントを見て行きましょう。

DXリテラシー標準のポイント

DXリテラシー標準とは、DXで必要とされるデータ活用をはじめとした技術の利用や、そもそものDXの背景となっている社会の変化の中で新たな価値を生み出すために必要な意識や姿勢、行動を示しているものと記載されています。こちらを策定した狙いは、一人一人がDXリテラシーを身につけることでDXを自分事と捉え、変革に向けて行動できるようになることです。

 

DXリテラシーを身につけた人材イメージとして、掲載されている例を書かれているまま、紹介します。

  • 60代 経営者:自社のDXの方向性が見えて来た
  • 50代 製造開発部門:自身の業務知識と新しく身につけたDXリテラシーを掛け合わせて、何か新しいことにチャレンジできそうだ
  • 40代 営業部門:なぜ会社がDXを重視しているのか、理解できた
  • 30代 管理部門:自身の業務も技術を活用して効率化や改善ができそうだ
  • 20代 新入社員:大学時代に学んだデジタルスキルに、業務や顧客の理解を掛け合わせると社会でも活躍できそうだ

このように、20代から60代までみんなDXリテラシーが必要であることが書かれています。

 

さらに、現在は社会やビジネス環境の変化に対応すべく、企業・組織を中心に社会全体でDX化が加速しています。その中で人生100年時代と言われるほど長い職業生活を生きて行くためには、組織や年代、職種を問わず、一人一人が自分の責任で学び続けることが重要となってきます。この「DXリテラシー標準」は個々人がDXに参加し、その成果を仕事や生活で役立てる上で必要となるマインド、スタンスや知識スキルを示す学びの指針にもなります。

DXのリテラシーを身につけるためにはDXの背景を学ぶ必要がありますし、そこで使われる技術やデータはどのようなものがあるかといった知識に加え、活用の仕方も知っていなければなりません。

また、その根本としてマインドやスタンスも整っていないと、なかなかDXにたどり着きません。
このマインドやスタンスは、顧客ユーザーへの共感や常識にとらわれない発想、反復的なアプローチ、変化への適用、コラボレーション、柔軟な意思決定事実に基づく判断などが挙げられています。

これらは、 #007 経済産業省「未来人材ビジョン」(2022/5/31発表)を読んでみる で解説した、今後必要となる能力として紹介した内容と非常に似ています。

 

「DXリテラシー標準」の策定は、全員が関係するものです。ぜひ一度、目を通してみてください。
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/skill_standard/DX_Literacy_standard_ver1.pdf

資料としては長いのですが、思ったよりもすらすら読める資料です。他人事ではなく自分事だと思って読んでおくと、前編で触れた学び直しに対して、少なくともDXに関連した部分では一つの指針が得られると思います。

DXの学び直しに関する企業事例

DXの話と、それから学び直しということで、少しだけ支援した事例があります。小売り業界のお客様で、その企業の売場の方をITエンジニアとして育成するというお手伝いをいたしました。
多くの企業では外部からの採用を行うことをお考えになりますが、やはり自社を、特に現場をよく知っていることは大変価値があります。現場の業務を深く理解した上でITの力も持っていれば鬼に金棒ではないかということで動いていた人材のリスキリング施策をトレノケートが一部をご支援したものです。

非常にワクワクする事例ですので、詳細はぜひURLからご覧ください。
【 研修サービス事例:エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社

ITやデジタルと言われると、関係するのはIT部門の人だけではないか、と思われるかもしれませんが、この事例を読んでいただくと、ITは誰にとっても身近なことであり、むしろ今まで培ってきた知識やスキル、経験に、ITデジタルをプラスしていくことが出来ると、自分の武器としてパワーアップできたり、より仕事が楽しくなったり、仕事の可能性が高まったりするのではないか?と感じていただけると思います。

今回は前編で厚生労働省の「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」、後編で経済産業省の「DXリテラシー標準」について解説をいたしました。
お気づきや感想、ご自身の取り組み、ご質問テーマに関するリクエストなどは、お気軽にVoicyのコメントよりお寄せください。